少しミラーレス一眼に飽きてきたので古いデジタル一眼レフでフィギュアの写真を撮ってみることにしました。
感想を先に書くと RAW 現像が前提ですが 17 年前のカメラでも 23 年前のカメラでも(色々苦労はするけど)SNS 向けのフィギュアの写真は十分撮れると思います。
先日 4chan のオタクにもなんか言われたけどこういう記事を書くと「最近のカメラで撮った方が良いに決まってるだろ」とか「古いカメラでも俺なら撮れるアピールかよ」みたいなコメントが湧くんだろうなと思っていますがそういうのは無視しますね。
白背景以外はストロボ 1 灯とレフ板あり・なしです。
使用カメラの紹介
Canon EOS 40D
2007 年 9 月発売。約 1,010 万画素。
人生で初めて買った一眼レフカメラです。3、4 年ほどスナップや風景撮影で使っていましたが、その後はカメラ自体まったく使わなくなったのでドライボックスで保管されていました。
Canon EOS D60
2002 年 10 月発売。約 630 万画素。
Nikon D60 ではありません。上記の EOS 40D を購入して数年後、古いデジタル一眼レフカメラというものに興味があったのでヤフオクにて中古で購入。EOS 40D とバッテリー(BP-511)が共用できます。
SNS にアップロードする程度なら画素数はそこまで気にする必要はない
Twitter の仕様では無劣化での画像アップロードは長辺 4096 px 以内、ファイルサイズは 5 MB 未満という制限があり、それを超えた場合は Twitter 側でリサイズなり圧縮処理されます。また、スマートフォンからの投稿の場合は高画質アップロードの機能を有効にしておかなければ長辺 2048 px にリサイズされてしまいます。4096x4096 px は約 1677 万画素、2048x2048 px は約 419 万画素です。
Bluesky は 2048 px くらい(当時と仕様が変わっていなければ)ですし、Instagram ならもっと小さいです。
高画素で撮影した場合はポスター印刷も綺麗に出来たり、余裕をもってトリミング出来たり、リサイズとシャープネス処理で元サイズで見たとき以上にシャープに見せることが出来るなどメリットはありますが、SNS にアップロードする用途であれば画素数はそこまで気にしなくて良いでしょう。
(最近また流行ってたけど iPhone だと 4K 読み込みしないと高解像度の写真出てこないしね…)
参考画像
参考画像として 2018 年発売のマイクロフォーサーズ機 Panasonic LUMIX G9 PRO(約 2,033 万画素)で撮影して長辺 2560 px にリサイズしたものを貼っておきます。遊びで撮ったものなのでホワイトバランスは厳密に合わせていません。
Canon EOS 40D でフィギュア撮影
まずは普通に撮影し、Camera RAW でプロファイルにはカメラスタンダードを選択して現像しました。元データを消してしまったのですが高輝度側階調優先 ON で ISO 200 だったと思います。レンズは Nikon Ai Micro-Nikkor 55mm F3.5 で照明はストロボ。リサイズは無しです。
長辺が 3888 px なので Twitter にはリサイズせずにそのままアップロードが出来るサイズです。色は懐かしのキヤノンの色といった感じで微妙です。肌色に関しては綺麗に出ていると思います。
次に、Calibrite ColorChecker Passport Photo 2 で色合わせをしました。赤色が大きく改善しています。
絞りの比較です。
高輝度側階調優先の比較です。(ON の場合は露出を上げた際に微妙にねばるが劇的というわけではないので必要な ISO 感度に応じて OFF でも良さそう 気になるデジカメ長期リアルタイムレポート:キヤノンEOS Kiss X4【第5回】 - デジカメ Watch Watch)
2022 年にアルターのシリアスをレビューしたときに EOS 40D を使っていたので当時の写真です。(記事内の写真は削除済)
EOS 40D の液晶は後述の EOS D60 に比べればマシではあるのですが最近のカメラと比較するとドットが荒いため細かいピントの確認は厳しいです。
Canon EOS D60 でフィギュア撮影
続いて約 630 万画素の EOS D60 です。こちらも長辺は 3072 px しかありませんのでリサイズ無しで Twitter に投稿が出来ます。
まずは Camera RAW でプロファイルにカメラスタンダードを設定して現像しました。ホワイトバランスも適当ですがやはり赤がおかしい気がします。そういえばこの頃はまだエンジンが DIGIC ですらないんですよね。
カメラ内でホワイトバランスを設定し、ColorChecker Passport Photo 2 でプロファイルを作りました。
絞りの比較。(ストロボの光量を変えたため若干ホワイトバランスがズレました)
同じフィギュアだとつまらないので他のフィギュアでも。(ちょっと周辺光量を落としている写真もあります)
わずかにホワイトバランスがズレていたのでちょっと調整。
EOS D60 の液晶ですがガラケーレベルのためピントの確認はほぼ不可能です。
センサーサイズの違い(Canon EOS 40 vs Nikon D800E)
Nikon D800E(2012 年発売、フルサイズ 3,630 万画素)と比較してみました。レンズはどちらも Nikon Ai AF Micro-Nikkor 60mm F2.8S で撮影距離も同じです。EOS 40D の方がやや望遠になるため D800E の方は少しトリミングして画角を合わせています。
正解は左が 40D で右が D800E です。これに関しては「差がわかりづらい撮り方をされても判別できない」という人もいるかと思いますが、言い換えればフィギュア撮影においてはフルサイズのメリットであるボケを活かすような撮影をしないのであればセンサーサイズの差は無いとも言えます。
ダイナミックレンジも屋外撮影の場合は太陽光と影の明暗差が大きいためダイナミックレンジは広ければ広いほど良いと思いますが、フィギュア撮影ではライティングで調整が出来るためダイナミックレンジの性能差が大きく出るシーンもあまり無いと思います。(自然光で撮る人は差が出るかも?)
YouTube ではセンサーサイズ論争がよく行われており、フィギュア界隈でも「被写界深度の深いマイクロフォーサーズが有利」なんて話も聞いたりしますが、個人的にはフィギュア撮影に関してはセンサーサイズは気にしなくていいと思っています。
フィギュア撮影は古いカメラでも十分可能
こう書くと外野からあれこれ飛んできそうですが中古カメラを買わせたいわけではありません。
今回古いカメラを使ってみた感じたのは古いカメラでも新しいカメラでも出てくる画にそこまで大きな差はない、ということです(画素数の違いは大いにあります)。うちのフィギュアレビューのレベルの話ですが。
最近流行りのジオラマを使ったような撮影の場合はダイナミックレンジの差が出るかもしれませんが、昔のねんどろいどの製品写真くらいであれば問題はなさそうです。
私は普段オールドレンズを使用していますがレンズの性能は 2000 年以前にほぼ完成しているのではないかと思っています。非球面レンズの採用やコーティングの改善、AF の高速化、小型化…など進化はしているとは思いますが写りに関しては最近のキットズームレンズより単焦点オールドレンズが圧倒的に劣っているとは思いません。
センサーに関しても画素数の向上やダイナミックレンジなど進化はしているもののフィギュア撮影で求められる性能は高くないためオーバースペックな感じがします。ローパスフィルターレス機だったり最新のカメラとか SIGMA のカミソリマクロで撮られた写真はシャープで綺麗だなとは思ったりもしますが果たしてフィギュア趣味の人でどれくらいの人がそこまで気にするのでしょう。フィギュア趣味の 9 割の人は気にしないと思います。
個人的にこんな印象。
古いカメラでも新しいカメラでも出てくる画に大差がないということはフィギュア撮影ではカメラの性能よりもライティングや背景紙の選択の方が見ている人に与える影響が大きいのではないかと思います。
そういえば 2010 年代のフィギュアブログでも写真が綺麗なブログはたくさんあったなぁ…。
いまカメラを買うならミラーレスがおすすめ
久しぶりに一眼レフを使ってみて感じたのは、
- 光学ファインダーでのピント合わせは非常に難しい
- ファインダーの視野率(≠100%)が厄介
というあたりです。
ピントに関しては LED 懐中電灯を使わなければミリ単位での調整が困難でした。ミラーレスであれば液晶や EVF で拡大表示が出来たりピーキングが使えるので非常に楽です。
また、スマートフォンやミラーレス一眼に慣れているせいで一眼レフエントリー機の欠点であるファインダーの視野率が 100 % ではない(今回使用した機種は 95 %)というのも非常にひっかかりフレーミングに悩みました。
どちらもこれからフィギュア撮影を始めたいという人には気にせず撮影を楽しんでもらいたい部分です。
いま買うならミラーレスが良いでしょう。それでも一眼レフを選択するという場合はピントの確認がしっかり出来る液晶(92 万ドット以上?)を搭載したカメラが良いと思います。
ミラーレスは楽だよ。
それでは〜