たまにガレージキットやガンプラの展示会にお邪魔して写真を撮らせていただいています。今回は展示会における外部照明や展示台のこと、撮影時の小ネタなどを(カメラマンと名乗るにはおこがましいので)野生の富竹目線でお話ししようと思います。
これらは私の趣味でやっているもので「こうした方がいい」と強制するものではありません。パクってるつもりはありませんが、すでに実践されている方の既出のネタもあったりすると思いますがご了承ください。
- 「あの照明気になるんだけどどんな風にカメラに写るんだろう?」
- 「照明を買ってみたけどどう照らすのがいいのかわからない、カメラはあるけど撮り方がわからない」
- 「撮影してもらうのに背景って白がいいの?黒がいいの?」
- 「展示会に行ってみたいけどどういう装備がいいのかわからない」
といった方々のお悩みの参考になれば幸いです。
今回の撮影サンプルについて
ウイングさんの 1/7 スケールフィギュア「おおかみずきんちゃん」です。可愛いです。一応宣伝しておきます。
展示会での外部照明の話
最近の展示会では外部照明を設置されているディーラーさんやモデラー、フィニッシャーさんを見かけます。これについてはいきなり否定から入ってしまいますが私個人は展示会での外部照明は「必須ではない」と思っています(※特殊なライティングを必要とする造形や演出目的のものは除きます)。
というのは展示会で使われる会場はそれなりのものが使われているので通常の撮影に関しては会場の照明だけで十分なことがほとんどです。古い建物での展示会では光量不足でストロボを使用することもありますが、その場合は環境光の影響を受けにくい撮り方をしますのでそもそも追加照明を必要としません。
なので作品を展示される方は「明るい方が写真撮りやすいのかな…?」と明るさについて心配する必要はないと思います。ワンフェスのディーラーブースは暗いですが。
比較的規模の大きい展示会で使用される会場で撮影させていただいたものを参考に載せておきます。
東京都立産業貿易センター浜松町館
東京都立産業貿易センター台東館
TRC東京流通センター第二展示場 Fホール
浅草橋東商センター(暗め。老朽化のため現在建替え中)
上記以外にも私が外部照明を必要だと思わないのは「会場の照明と展示者が用意した外部照明の色が合っていないためホワイトバランスがめちゃくちゃになる」というのが理由です。もしこれから外部照明を購入しようと思っている方は色が極端に偏っていない、グリーンやマゼンタの調整が出来る製品をおすすめします。
今回紹介する Ulanzi VL110 という製品は安価ですが、かなりマゼンタ被りします(エフェクトとして使用する分には問題ありません)。
所持していないので程度のほどはわかりませんが、NEEWER 製のものは GM 補正機能が付いています。
定番は NANLITE 製品。
私の部屋は昼白色の照明ですがカメラのホワイトバランスを太陽光に固定して Ulanzi VL110 を 6000 K、出力 100 % で点灯させてみるとマゼンタ被りになっているのがわかると思います。
ソフトウェアで外部照明にホワイトバランスを合わせると今度は室内灯の方がやや緑被りになってしまいます。
対策としては「できるだけ被写体に当たる環境光を遮る」「環境光よりも強い光量を持つ外部照明(要はストロボ)を使う」などがありますが手間やコスト、電源確保の問題などでなかなか難しいと思います。
写真のホワイトバランスを調整する際にこのように会場の照明と外部照明のバランスがずれている場合、どちらを基準にするか悩むことがあります。というかよく悩みます。本当に。
外部照明を使う場合はできるだけ会場の照明の色と近づけておいていただけると撮影者としては助かります。
照明の種類や配置
LED 照明には形状の種類があり、バー(チューブ、スティック)型やパネル型、テープ型などがあります。今回は USB モバイルバッテリーで運用可能な何種類かのライトと配置を紹介します。
被写体の大きさや形状、色、演出方法、本人の好み、気分で要求されるライティングは変わります。会場の光量によっては掲載例ほどの効果が出ない可能性もあります。また、各製品はマイナーチェンジが加えられている可能性がありますのでレビューなどで下調べをする際はできるだけ新しいものを参考にしてください。
今回は展示会場を想定して部屋の照明はつけたままで、ホワイトバランスはカラーチェッカーに合わせています。もしご自宅で作例撮影等をされる場合は撮影用の照明以外は消した状態で撮影されることをおすすめします。
特に記載がない限りライトの色温度は 5600 K、出力は 100 % です。製品によっては給電時に 100 % で使用できないものもありますので仕様をご確認ください。
カメラは絞り優先モードで絞りを F5.6、ISO を 400 に固定しています(私の場合は会場だとだいたい ISO 400〜800 を使用しているため)。撮影時のパラメータは写真の右下に記載されています。
バーライト(チューブライト) Ulanzi VL110
手前横 45 度
置くだけなので最も楽な配置だと思います。しかし、ややお化けライト的な感じになります。例えるなら夜の自動販売機の前で撮った写真。
同じものを逆サイドにも設置した場合です。ガンプラならドックのような雰囲気が出て良いかもしれません。
更に上に一灯追加した場合です(VL110 が 2 本までしか無いので VL119 を使用しています)。やや自然な雰囲気になりますが多方向から光が当たることによって陰が少なくなり、のっぺりとした印象になります。リングライトを使った状態に近いのでこれならリングライトをひとつ設置した方が楽だと思います。
余談ですが Ulanzi VL110 などのバータイプは連結できることが多いです。被写体の大きさとの関係もありますが高さが出ることによって上方向からの光が加わるため少し印象が変わります。
斜め上 45 度
個人的に最もシンプルで汎用性が高いと思う配置です。難点は展示会でこの位置に配置しようとすると何かしらのスタンドかアームが必要になってしまうという点です。アングルによっては照明が被写体に被ってしまう可能性もあります。
更に反対側にライトを配置した状態です。後ろのライトの出力は 50 % にしています。黒い被写体に黒い背景だと陰になる部分が背景と同化してディティールが不鮮明になることがありますが、この方法で輪郭部分を持ち上げてあげることができます。問題点としては後ろのライトがカメラにとって逆光になるためレンズによってはゴーストやフレアが出やすくなってしまうという点です(何かしらの壁を作ってレンズに直接発光部が写らないようにすれば回避できます)。
両サイド。これも自然な雰囲気だと思います。左右で光量を変えて陰に強弱をつけるのも良いかもしれません。
Amazon で購入できるアームの一例を紹介しておきます。
上から照らす場合はライトの高さによっても印象が変わってくるので好みの位置を決めてください。被写体から遠ざけるほど光量が落ちて環境光の影響を受けやすくなりますのでほどほどに。
なお、Ulanzi からは同価格帯で全長が長い VL119 という製品が出ています。これにはマグネットは搭載されていないため 1/4 インチネジでの固定のみになります。
製品 | 全長 | 発光部 |
---|---|---|
VL110 | 24 cm | 21 cm |
VL119 | 50 cm | 35.5 cm |
発光具合は VL110 と似ていますが VL119 の方が若干マゼンタ被りが少なくなっています。
上下
上のみの場合。デスクライトと同じ配置なので馴染のある写りだと思います。こちらもスタンドやアームが必要になるので配置が難しいかもしれませんが左右からの撮影の邪魔になることは少ないのではないかと思います。
下を追加して上は出力 100 %、下は出力 50 % です。個人的にはいかにも展示品という感じで好きなライティングです。足元の造形や塗装までよく見てもらいたい場合に向いていると思います。
下をレフ板で代用してみた例です。展示台が白い場合は特に必要ありません。
下のみです。上は環境光に頼ることになるので色が合っていない場合は見ての通り悲惨なことになります。
下に照明を配置する場合は被写体の足元が隠れてしまうので少し底上げが必要になるかもしれません。底上げにはコトブキヤのアクリルテーブルなどがおすすめです。無印良品のアクリルフォトフレームを使う方法もあります。
パネルライト
ここでは NEEWER RGB61 と NEEWER RGB150 を使用します。RGB150 は現在日本の Amazon で取り扱いが無いようなので類似の SL90 を紹介しておきます。
NEEWER RGB 61 は手のひらサイズのコンパクトな LED ライトです。これ単体では高さが足りないためミニ三脚などを使用する必要があると思います。ディフューズパネルを付けた状態で Ulanzi VL110 と比較すると光質はやや柔らかい印象です。
このライトも複数連結することができます。
1 個では面が小さいため上に配置する場合はスポットライトやダウンライト的な感じになります。連結が可能なので幅を出すことは可能です。真下に向ける場合は被写体の真上ではなく少し手前に配置してあげるといいでしょう。
手前の斜め上からでもあまり変化はないようです(一応シャッタースピードが上がっているのでこちらの方が被写体に強く光が当たっていることになります)。
斜め上両サイドから。バーライトとあまり差は無さそうです。
NEEWER RGB150 はスマートフォンくらいのサイズで RGB61 よりも少し大きな発光面を持つ LED ライトです。光量についてはそこそこあります。こちらもミニ三脚などを用意した方がいいでしょう。一応ディフューズパネルは付いていますが光は少し硬い印象です。
斜め上 45 度から。
テープ LED
秋葉原の電気街にあるピカリ館さんやエルパラさんなどで購入することができます。今回使用しているのはフレーム付きの『Ra98 太陽光ウルトラスリムライトバー』です。磁石が付いているのでブックスタンドなどに貼り付けられます。
※これに関しては 12 V 駆動のため USB で使用する場合は昇圧器が必要です。モバイルバッテリーで駆動可能なものは https://www.akiba-led.jp/product-list/116 をご確認ください。
この製品には気持ち程度のディフューズフィルムが付いているのですが期待できるほど効果はありません。発光部の見た目は点在している LED がキラキラして綺麗なのですが影は汚くなります。
両サイド。企業の展示会だとこういうのが多いかも。
こんな照明の使い方はちょっと困る
展示会でこのようなことがあったかどうか記憶が定かではないのですが「どう演出したいのかよくわからない」「照明ごとに色がずれている※」「作品の色が大幅に変わる色つけ」というのは撮影者としては困ります。
※最近では寒色系と暖色系を混ぜたライティングも見られます。ここでのことは例えば遊んでいて設定を元に戻しておらず、意図せずずれていることを指します。
どのような演出をしたいかは展示者さん自身が決めることではありますが、アクセントとして色を付けたい場合は作品に直接当たらないような配置が良いかなと思います。なお、極端に強い色をカメラで撮ると色飽和が起きてしまうことがありますので明るさだけでなく彩度も気にすると良いでしょう。
展示会によっては卓のスペースが狭く、光量によってはお隣の卓に影響を与えることがないとも限りません。配置によっては壁を用意した方がいいかも?
ダイソーのマルチパネルを使った展示台についての話
今や展示会で見ないことはないというくらい定番のマルチパネルを使った展示台。組み合わせは人それぞれですが、個人的には背面部分が付いるとありがたいです。撮影時には展示物にクローズアップしているので実際のところ後ろはあまり写っていないのですが、写り込みを気にして席を立たれたりする方もいらっしゃって若干気まずい雰囲気になることがあります。すみません。
また、展示物をポリプロピレンの上にそのまま置いていてたわんでいるのを見かけるので何かしらの板を置いた方が見栄えや安定性も良くなるでしょう。
我が家にもこのマルチパネルがあるのでサイズを測ってみたところ大体 35 cm くらいの板を用意すればストッパーのくぼみに収まりそうだったので 5 mm 厚のスチレンボードを 35 cm の正方形にカットしてみました。角の部分はアールが付いているようなので少し潰れてしまいます。
展示物の重量にもよりますがスチレンボード(上質紙がついているタイプ)なら 5 mm、MDF なら 2.5 mm 以上の厚みがあればいいかなと思います。
このマルチパネルはフレームが鉄になっているのでマグネットを内蔵しているタイプの照明を取り付けることができます(そこまで強力ではなないので安全のためテープ等で補強した方が良いでしょう)。
マルチパネルと Ulanzi VL110 を使って何通りかライティングを試してみました。
一番バランスが良さそうなのは L 字でしょうか。上下は位置が固定されてしまうため物によっては角度が悪く、顔に影が落ちたりしてしまいそうです。今回は底上げしてちょうど良いくらいでした。
なお、マルチパネルのポリプロピレン部分にもディフューズ効果はありますが、密着しているとほとんど効果は得られません(例えばバーライトを上に置いているだけとか)。
リメイクシートを使ったアレンジ
便利なマルチパネルですがやはりあのフレームやポリプロピレンが気になり撮影者からするとちょっともったいないなと思ったりすることもあります(気になると言えば気になるし気にならないと言えば気にならないというレベルですが)。
ということで今回は先程切ったスチレンボードにリメイクシートを貼ってみてどれくらい見栄えが変わるのか検証してみることにしました。家のスチレンボードの在庫がなかったので背景部分を一旦剥離紙がついたままの状態でクリップで仮止めしています。
若干チープさはありますがそこまで悪くはなさそうです。スチレンボードを買い足して背面もスチレンボードにリメイクシートを貼ったものに置き換えました。
マルチパネルのみの場合とリメイクシートや背景紙(つや消し)を組み合わせたものを撮り比べてみました。照明は Ulanzi VL110 を斜め上 45 度両サイドから当てています。
マルチパネルのみだとフレームやポリプロピレンの縫い目などが気になりますが、リメイクシートや背景紙を使うことでほぼ払拭できているのではないでしょうか。背面に光沢タイプのものを使用すると写り込みが気になってしまうので背面はつや消しタイプが扱いやすいかもしれません。
今回の台座は簡易的なものなので横から見るとこのような感じです。
正面限定の見栄えになってしまうのでもう何枚か壁を追加して L 字や三面鏡のようにするのも良さそうです(箱庭技研さんのジオラマルームシリーズが近い)。
今回使用しているリメイクシートは裏面に接着剤がついているので最近よく見かける黒いプラダンを使用したひな壇にも貼り付けられます。「段ボールの模様がちょっとなぁ…」と気になっている方にもおすすめです。白いひな壇を黒系にしたり黒いひな壇を白系にすることも出来ます。
マルチパネルとスチレンボード、リメイクシート合わせて材料費は 2,000〜3,000 円くらいでした。スチレンボードは A1 か B2 サイズがあれば 35✕35cm が 2 枚切り出せます(カットのコストなのか A1 の方が安いことがあるようです)。
リメイクシートはホームセンターや Amazon などで入手できます(「キッチン ステッカー」などの検索結果でも出てきます)。マルチパネルと組み合わせるのであれば大きさが 35 cm 以上あるとよいでしょう。Amazon では 40 cm 幅のものが多いですが AliExpress だと 60 cm 幅のものもあったりします。
スチレンボードは通販でも購入できますが御茶ノ水のレモン画翠さんが取り扱いも在庫も豊富です。
白背景と黒背景についての話
背景何色にするのか問題は多くの人が抱える悩みだと思いますが、今回は主にスタンダードな白と黒について話をします。
最近ではプラダンを用いたひな壇を使われる方が増えたように感じます。黒いプラダンが使われていることの方が多いように感じますが、白背景と黒背景でどのような違いがあるのかを見ていただこうと思います。
印象の違い
家にプラダンが無いのでここではレフ板で代用させていただきます。
※会場ではもう少し光が拡散しているので普通の撮り方であればここまで極端な陰影は出ないと思われますが光の反射を見ていただくために一灯にしています。
中央部分をトリミングしました。
見ての通り白と黒でかなり印象は変わります。黒背景の方が被写体が引き立っている反面、陰の部分と背景が同化してわかりづらくなってしまっています。ガレージキットではアクリルベースを使うことが多いと思いますが台座の反射具合も変わります。
今度は床の色の違いです。見ての通り黒い場合は床からの照り返しがありません。
こうしてみると白背景の方が黒つぶれの心配が無く無難かなという感じはしますが、念の為もう一度書いておくと会場ではもっと光が拡散しているのでここまで陰が濃くなることは無いと思います。
もし背景を黒にする場合は展示会では見栄えの問題もあるので難しいかもしれませんが床や側面を白にするか補助光(リムライト)を置いておくことで黒つぶれを抑えることはできます。「(例えばエイリアンのような)全体的に黒い作品なんだけど背景も黒にしたい」という場合は試してみてください。
黒背景の撮影にはコツがいる
白背景と黒背景では撮り方(カメラのセッティング)が少し異なります。まずは例を見ていただきます。撮影モードは絞り優先で ISO は固定です。
左上から順に、
- 白背景 マルチ測光 シャッタースピード1/125秒
- 黒背景 マルチ測光 シャッタースピード1/25秒 ←普通に撮ると多分こうなります
- 黒背景 スポット測光 シャッタースピード1/50秒
- 黒背景 スポット測光 シャッタースピード1/100秒 露出補正-1EV
となっています。
カメラには「測光モード」というものがあり、ほとんどの人は「マルチ測光(キヤノンでは評価測光)」を使用していると思います。測光モードの詳しい話はここでは省略しますがカメラが画面のどの部分の明るさを基準にして露出(明るさ)を決めるかという設定です。
背景が黒いとこの測光機能が「黒=暗い」と判断してしまい、画面全体を明るくしようと絞りを開けたり、シャッタースピードを遅くしたり、ISO 感度を上げたりします(どれが変わるかはカメラの設定によります)。実は画面端にいるダイワスカーレットの場所の明るさが変わっているところにご注目ください。
絞りを開けるならまだいいのですがシャッタースピードが遅くなるということは手ブレする可能性が増えますし、ISO 感度が上がるとノイズが増えてしまいます。その結果、ブレブレで被写体が真っ白でノイズまみれの黒背景がグレーになった写真が出来上がります(②の写真)。
私は黒背景の展示台で撮影する際は「露出補正」を使っています。カメラにもよりますがだいたいシャッターボタン付近のダイヤルを回せば露出計の目盛りが動くはずです(詳しくはお使いのカメラの説明書をお読みください)。だいたい -1EV を目安にしていますが、これは「カメラが検出した明るさを 1 段下げてね」と指示するものです。絞り優先モードの場合はシャッタースピードが速くなるか ISO 感度が低くなります。その結果②の写真が④のようになります(今回は ISO を固定しているのでシャッタースピードが速くなっています)。
他には測光モードを「スポット測光」にする方法もあります。これは測光の基準にするエリアを画面全体ではなくフォーカスポイント周辺にします。ヒト型のガレージキットやフィギュアの場合は顔を基準にすることが多いと思うのでオートフォーカスのポイントを顔にしておけば顔周辺の明るさを基準にしてシャッタースピードや ISO 感度を決めてくれるようになります。ただし、被写体が真っ黒だったり画面全体に対する範囲が狭い場合はうまく効かないことがあります。
デジタルカメラの場合はすぐ確認して撮り直しも出来るのでとりあえず露出補正操作を素早く行える練習をしておくといいかなと思います。補正幅の決定に自信がないとう場合は撮影枚数が増えますが「ブラケット撮影」という機能がカメラにはあります。
フラッシュの光量への影響
白背景と黒背景の違いはフラッシュ(ストロボ)を TTL で使うときも同じような感じになります。絞り、シャッタースピード、ISO はすべて固定です。
左上から順に、
になっています。
黒背景の場合はフラッシュが強めに発光して 2 枚目や 3 枚目のような写真になるパターンが多いと思います。フラッシュをマニュアルで使用する場合は背景の色で光量は変化しませんが、TTL の場合は露出補正同様に光量の補正が必要になることがあります。
ただ、多くの野生の富竹は TTL を使用せずマニュアルで光量調整をしていると思うので余計なお世話でしょう。多分。
以上の理由から黒背景は黒つぶれの対策や撮影時に露出のコントロールが必要だったりするので無難なのは白背景かなと思います。しかしこれは「展示会で黒背景はやめておけ」というわけではありません。人間の目は優秀で陰と黒背景の見分けくらいつくのでご自身でどのような展示にしたいか、どのように見てもらいたいかを第一にお考えください。
なお、白は白で明るすぎると黒背景とは逆の補正が必要になることがあります。
より綺麗な黒背景を求めるのであれば光陽オリエントジャパンさんの無反射植毛布や太黒門、平和紙業さんのウーペ(ブラック)などがおすすめです。実際の写真撮影でも使ったりします。埃取りの手入れは必要ですが。
白・黒以外の話
白や黒以外の話も少ししておきます。
展示会でも布を使っている方は見かけますが、私のおすすめはベロア(コスチュームベロア)という素材です。折りたたんでも折り目が目立ちにくく光沢感もあり豪華な演出ができます(まるで某企業グループ合同展示会のように)。1 メートルあたり 1,000 円もしません。なお、これはマルチパネルに被せているだけです。
ユザワヤさんなどの手芸店で購入できます。
他にもおすすめなのが革調フェルトです。展示会でも使っている方を見かけます。アンティーク系の色のラインナップのみで鮮やかな色は今のところ販売されていませんがこちらも折り目がつきにくく端がほつれてくることもないので扱いやすい素材です。丸めて持ち運びができます。
こちらもユザワヤさんのオンラインショップで購入できますが、Amazon のユザワヤさんのショップからも購入できます。
サテンを使われている方もよく見かけるのですがシワや折りたたみグセがついていてあまり見た目がよろしくないな…と思うことがあります。あとサテンって端の処理をちゃんとしないとどんどんほつれてきます。
布に限った話ではありませんが濃い色に関してはやや注意が必要で、青や緑といったものは血行の悪い肌に見えてしまうことがあります。
レンズの話
これは会場の広さや混雑具合、展示物の大きさ、撮り方によって変わってくるので目安でしかないのですが最低限 35〜100 mm くらいの範囲のレンズがあればいいかなと思います。展示会では様々なサイズの展示品が並ぶので単焦点一本で撮るのは厳しいです。高画素機の場合は画素数の暴力で乗り切れなくはないですが。
これを書いている時点では完全にうろ覚えですが 1/7 スケールくらいのガレージキットを一体ずつ撮る場合、会議机に直置きの場合やひな壇の一段目は 50〜70 mm くらい、ひな壇の三段目となるとアップで撮りたい場合は 200 mm くらいは必要になるんじゃないかなと思います。
空中撮影
展示物の空中領域にカメラやレンズを入れて撮ることです。「空中禁止」と明記していない場合が多いですが一般的に空中撮影は厳禁だと思っています。たまにカメラをガッツリ入れたりスマホで寄って撮ってる人も見かけますが。
どうしても寄りたかったりカメラに収めておきたいアングルがある場合は展示者さんに相談するのもいいかもしれません。
あとがき
書き始めから数日経ってしまい、あれこれやっているうちに何を伝えたいのかよくわからないつまらない記事になってしまったような気がします。なぜこのような記事を書こうかと思ったのも忘れました。なんでだっけ。
ここまで書いておいてなんですが展示会は作品を見てもらったり交流するのが主な目的で、撮影する・してもらうことがメインではない思うので写真写りに拘る必要は無いんじゃないかなと思っています。いやほんと記事の内容と反してますが。最近だと会場撮影サービスなんかもあるので綺麗な写真や記念撮影はそういったところにお願いするのもありだと思います。
ざっくりまとめると、
- カメラマンのために無理して外部照明を用意する必要はない
- 背景は白でも黒でもどちらでも大丈夫。(撮る側の人は露出補正を覚えよう)
- お洒落な展示台はカメラマンが喜ぶぞ
という感じの話でした。
ストロボの使い方についての話も書こうかなと思ったのですが今回は割愛することにしました。
執筆にあたって知り合いのカメラマンの方々にスペースで色々とご意見をいただきました。ご協力いただきありがとうございました。