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どこかのエンジニアモドキの備忘録

フィギュア撮影用ソフトボックスを作ってみた(リムライト編)

フィギュア撮影用ソフトボックスを作ってみた(リムライト編)

前回、バックライト用のソフトボックスを紹介しましたが今回はリムライト編です。

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「リムライト」とは?

半逆光的な光。人物照明では立体感や髪の毛のディテールを強調するために使用する。
映画・映像 業界用語辞典 「リムライト」 | 映画と映像の学校 | TMS 東京映画映像学校

最近では映像や写真だけではなくイラストの彩色工程でも出てくる用語です。具体的には下記の写真のように被写体の輪郭部分(エッジ)を明るくするライトのことです。

リムライト
リムライト

エッジライトとも言ったりするのでしょうがリムライトが被写体の斜め後ろから当てる照明なのに対して、エッジライトは被写体の輪郭全体を浮き立たせるための照明といった感じでしょうか(詳しい分類は知らないので自分で調べてね)。

左がキーライト(正面上部45度)のみで撮影したもの、右がリムライトを足したものです。

リムライトの効果
リムライトの効果

動画で見るとわかりやすいかもしれません。

リムライトあり・なしの違い
リムライトあり・なしの違い

フィギュア撮影ではリムライトを入れてあげるとフィギュアが引き立ちます。しかし、被写体や背景紙などによってもイメージに合う・合わないがあったり、輪郭が明るくなることによって若干境界が曖昧になるため必ずしも必要というライトではありません(実際、アルターグッドスマイルカンパニーといったメーカーの宣伝写真ではあまり使われていません)。

私はフィギュア撮影を始めた頃からこのリムライトを取り入れたいと思っていました。しかし、フィギュアの斜め後ろにソフトボックスが設置できればいいのですがスペースが無いというか後ろが壁なので照明を配置することすらできません。そこで「卓上でも使えるようなコンパクトなソフトボックスを自作しよう」と思ったのが制作のきっかけです。

イメージとしては Godox や Profoto なんかから発売されている縦長ソフトボックスの縮小版です。

奥行きをあまり取れないので Godox TT600 というストロボを上から挿し込むような形状で作成することにしました。高さは約 45 cm で発光部は 1/6 スケールくらいのフィギュアに対応できるように約 35 cm としました。TT600 は太くなるため特に固定具など必要なくハマります。内部はそのままだとストロボの光がスチレンボードを貫通するのでアルミホイルで覆っています。本当なら黒いスチレンボードで作成した方が良いでしょう。

そのままだと TT600 の重さで転倒してしまう恐れがあるのでブックスタンドを台座にしました。

試作品が完成したので桜楓のレビューで使ってみました。

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効果が出たので今後も使っていこう!と思ったのですが、この後からリムライトをリフレクターとグリッドを使ったライティングに切り替えたためこの自作ソフトボックスの出番はあまりありませんでした…。再登場したのは甘雨とかホノルルのレビューのときくらいでしょうか。

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改良

元の状態でもリムライトの効果はあるにはあるのですが少し問題がありました。

それは照射角が広いため背景紙などにも光が当たってしまい、明るさのムラができてしまうことです(面光源にしてるので当たり前なのですが)。

自作ソフトボックの課題
自作ソフトボックの課題

改良点はグリッドを付けることです。グリッドとは光に指向性をもたせるための壁です。長く、細くすればするほど直進する光だけになっていきます。極端な指向性をもたせるものだと "スヌート" という製品があります。

グリッドは反射してはいけないので黒いスチレンボードで作ります。(途中でダイソーのスチレンボードが脆すぎて割れたりしたのでマスキングテープで補強…)

仮組みでテストしてみました。

グリッド無しよりは良さそうですがまだ光が広がっている感じがするので縦方向にも仕切りを入れました。グリッドは細かくしすぎると逆にムラが目立ってしまうので今回はこれくらいにしておきます。(グリッドを細かくすると LED がいっぱいついているような感じになって被写体の影が複数現れてしまいます)

自作ソフトボックス改良版
自作ソフトボックス改良版

改良前と比較も済んだのでもう片方組み上げます。あるぇ?高さが違うなぁ!?まぁ正式版を作るときに直しましょう…。

改良が終わったのでバックライトも使ったりしてみて何枚か試写してみました。(それぞれのライティングの違いを作例を紹介したところ意外と反響をいただきました)

リムライトでフィギュアをかっこよく撮る!

最初にも言いましたが、リムライトは必須ではありません。しかし、フィギュアをかっこよく見せるために使うことも多いライトです。

髪の毛がクリアパーツなフィギュアの場合は特にリムライトを入れてあげることで髪に透明感が出たりするのでオススメです。(そういえばヘアライトとも呼ばれたりします)

キーライト+リムライト
キーライト+リムライト

私はストロボを使っていますが LED ライトでも大丈夫です。チューブライトの場合は照射角が広いので黒いスチレンボードなどで光を切ってあげるといいかもしれません。

リムライトは白とは限らないのでフルカラー LED ライトを使っている人は色を変えると印象をガラッと変えられます。(ストロボの場合もフィルムなどを使えば色を変えることはできます)

白以外のリムライトの効果白以外のリムライトの効果
白以外のリムライトの効果

ちなみにフィギュアくらいのサイズであればボーエンズマウントのリフレクターとグリッドを使ったりするのもアリです。個人的には大きめのソフトボックスやアンブレラよりも 1/6 スケールくらいまでならこれくらいのサイズがちょうど良いと思っています。これを使って三点照明を組むといい感じになります。

今回の自作ソフトボックスはまだ試作版なのでそのうち正式版を作りたいと思っています。その時はもう少しまともな記事にしたいですね。

ではまた。