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どこかのエンジニアモドキの備忘録

水性塗料の白下地を検証

水性塗料の白下地を検証

これまで白下地にはクレオスの『水性ホワイトサーフェイサー1000』を使っていました。

これブラックはとても優秀なんですがホワイトは隠蔽力がイマイチなんですよね…。以前モトコンポのプラモデルを塗る際にも使用したんですがどうしても真っ白になってくれなかったので途中で諦めました。

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色違いをニャオハを作るときにも使用したんですがこのときは上に塗る色が黄色とかではなかったのでそこまで影響はしませんでした。ただ、このままだと本当に真っ白の下地が欲しくなった際に困るな…と。

そんなある日、Twitter で白サフについてとても有益な情報が流れてきました。

えもちゃんさんによるとクレオスの水性ホビーカラー『クラッシーアンドドレッシー』シリーズが下地にも向いているとのこと。

ホワイトに近いパステルカラーのようなシリーズですね。

白サフじゃなくても別にいいんだなぁ…ということで水性塗料の白下地について調べてみると Nipper ではタミヤのアクリル塗料フラットホワイト XF-2 がおすすめされていました。

nippper.com

すべてヨドバシで取り扱っていたのでとりあえずこの 3 種類を使って白下地の検証をしてみることにしました。

他にも白い塗料を調べているとホルベインの「白すぎる白」と言われる『スーパーオペークホワイト』というのも見かけました。こちらは隠蔽力がとても強いらしいのですが取扱店がよくわからず。仕方ないのでヨドバシの店頭でも入手できるターナー アクリルガッシ ホワイトと蛍光ホワイトをチョイスしました。なお、同社の U-35 アクリリックス チタニウム ホワイトに関しては公式サイトで不透明とされていますが参考サイトによると隠蔽力はあまり高くないようなので除外しました(U-35 シリーズ自体透明度が高いらしい)。

あとは手元にあったファレホメカカラーのピュアホワイトも検証に加えます。

アクリジョンは扱いが難しいとのことで除外。シタデルのホワイトスカーもありますが 10 ml で 500 円くらいして下地に使うにはコスパが悪いので対象から除外します。

隠蔽力、発色テスト

翌日注文していた品が届きました。タミヤのアクリル溶剤とクリヤーを間違えて買ったのは内緒。

水性塗料の白下地を検証
水性塗料の白下地を検証

サンプルの台紙はプラバンにクレオスの『水性ブラックサーフェイサー1000』を使います。

途中から作り方を変えてしまったのですが一通りサンプルが出来ました。基本は 4 回塗りです。クレオスの水性サフは 5 回塗っています。

エアブラシは充電式エアブラシでエアー圧は公称値 0.048 MPa、ニードルは 0.3 mm です。

タミヤ XF-2 フラットホワイトは 追記2 にてサンプルを作り直しています。

水性塗料の白下地を検証
水性塗料の白下地を検証

クレオス クラッシーアンドドレッシー ミモザ
クレオス クラッシーアンドドレッシー ギンセンカ

聞いていた通り隠蔽力が結構ありました。ほぼホワイトと言っていいくらいでややグリーン被りかベージュかといったレベルです。この上に発色の良いホワイトを重ねれば良い下地として使えそうです。

タミヤ アクリル XF-2 フラットホワイト

クレオスのクラッシーアンドドレッシーシリーズに比べると若干隠蔽力が低めですが十分使えると思います。粒子はこちらの方が細かい印象でした。

ターナー アクリルガッシュ ホワイト

すべての中でダントツの隠蔽力と発色でした。ほんとに真っ白。なお、希釈はファレホのエアブラシシンナーを使いました。タミヤクレオス、ガイアノーツのアクリル溶剤と混ぜ合わせるとダマになるので注意が必要です(後述します)。

ターナー アクリルガッシュ 蛍光ホワイト

隠蔽力はほぼありません。

クレオス水性ホワイトサーフェイサー1000

テストするまでここまで隠蔽力が無いとは思いませんでした。また、思ったほど白くも無いようです。もうちょっと頑張って欲しい。

ファレホ メカカラー ピュアホワイト

ファレホメカカラーなので隠蔽力は期待していましたがまずまずの結果です。欠点としては入手が難しいことと、在庫が切れると長期間手に入らない可能性があるところですね。


先程のサンプルにファレホメカカラーのイエローを上塗りしてみました。マスキングテープを使用しましたがいずれも剥がれなどは起きませんでした。アクリルガッシュは濁りの無い綺麗な色です。

水性塗料の白下地を検証
水性塗料の白下地を検証

ターナーアクリルガッシュ蛍光ホワイトは隠蔽力はほとんどありませんがブラックライトの反応はとても良いです。他の塗料と混ぜて使うと手軽に発光させられそうです。

ターナー アクリルガッシュ 蛍光ホワイト
ターナー アクリルガッシュ 蛍光ホワイト

アクリルガッシュに最適な希釈液は何か

エアブラシ用にアクリルガッシュを何で希釈するか迷いました。前にどこかでファレホシンナーは有機溶剤じゃないのでいいよみたいなのを見かけた気がしたんですが探してみると見つからず。シタデルと勘違いしたかもしれません。

アクリルガッシュの希釈には Nipper がクレオスの水性ホビーカラーシンナー、ホビージャパンがガイアノーツの水性アクリル系溶剤を使っていました。

nippper.com

hjweb.jp

クレオスの水性ホビーカラーシンナーは前から持っていたんですがファレホに使ったときに分離したんですよね。なのでアクリルガッシュでもなんとなく合わない気がします。

というわけでタミヤとガイアノーツのアクリルシンナーも買って一通り試してみることにしました。

水性塗料の白下地を検証
水性塗料の白下地を検証

ターナーアクリルガッシュホワイトと各溶剤を 1:1 で混ぜて少し時間をおくと案の定ヨーグルトのように分離というかダマが発生してきました。タミヤとガイアノーツが同じくらい、クレオスが一番ひどいです。手前はファレホシンナーで混ぜたものです。

水性塗料の白下地を検証
水性塗料の白下地を検証

ファレホシンナーを使用したものは分離もダマも出来ず、滑らかなクリームのような感じです(撹拌はファレホの塗料に比べると入念に必要です)。ちなみに水で溶いた場合も似たような感じで分離はしません。

水性塗料の白下地を検証
水性塗料の白下地を検証

クレオスは多分これを塗ったら塗膜が割れそうな感じで分離してます。ちなみにこれをエアブラシで吹くとミストだけでなく半固形物も一緒に飛びます。

水性塗料の白下地を検証
水性塗料の白下地を検証

Nipper やホビージャパンが明らかな間違いを書いているとも思えないのですがもしかしたら色によって反応が違ったりするのかもしれません(もしくはこれくらいの分離は許容してるとか)。いずれにしろ私はファレホシンナーを推奨します。ファレホシンナーがあるとファレホはもちろんシタデルにも使えるので水性塗料ユーザーは持っておいても良いと思います。17 ml はすぐ無くなるので 60 ml がおすすめですかね。フローインプルーバーもあると良いかもしれません。

アクリルガッシュガレージキットを塗られている芳雛さんはホルベインのペンチングソルベントを使われているみたいです(茶こしを使われているからこれもダマになったりするのかな?)。なお、こちらのアクリルガッシュでの制作例はとても参考になりました。U-35 も良さそうですね。

yoshi-hina.hatenablog.com

塗膜の強度チェック

隠蔽力、発色はわかったので次に大事なのは塗膜の強度。竹串でゴシゴシしていきます。

水性塗料の白下地を検証
水性塗料の白下地を検証

結果はアクリルガッシュが一番弱いという結果になりました(このときは)。乾燥時間が 6 時間程度でかなり強めにこすったという状況です。クレオスの水性サフとファレホメカカラーピュアホワイトはちょう頑丈。一番左がアクリルガッシュですが、4 回目の部分に関してはほぼ傷は入りませんでした。塗装面のザラツキにも原因があるかもしれません。

水性塗料の白下地を検証
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クレオスのクラッシーアンドドレッシーやタミヤのフラットホワイトにも傷は入っていますが翌日再度試してみたところこれらにはほとんど傷は入りませんでした。

検証を続けていくうちにアクリルガッシュでもある程度の強度があることがわかりました。ファレホのシンナーには塗膜を若干強くする効果があるようで、きっちり塗料とシンナーを 1:1 で割ったところ爪ではほぼ傷がつかず、ピンセットや竹串でもほぼ傷がつかないというようなサンプルが出来ました。ファレホのグロスメディウムを使ったサンプルも作りましたが塗装面が滑らかになったせいか爪や鋭利な先端がひっかからないのでグロスメディウム無しよりも若干ひっかきに強い印象がありました。

水性塗料の白下地を検証
水性塗料の白下地を検証

上が前日に希釈割合適当で作ったもの。下が塗料:シンナー 1:1 で作ったもの。

水性塗料の白下地を検証
水性塗料の白下地を検証

タミヤのフラットホワイトの強度を維持しつつ、ターナーアクリルガッシュホワイトの隠蔽力と発色を再現できないかと混合をタミヤ:アクリルガッシュで 1:1 や 2:1、1:2 と検証してみたのですが塗装面が割れました。ファレホシンナーが手に入らないとき用にタミヤのシンナーで代用できないかどうかも試したのですがこちらも若干割れが発生しました。どうもタミヤ系の溶剤とは相性が悪いらしく塗装面が割れてしまうようです。これなら乾燥時間は伸びますが水で希釈した方が良さそうです。

水性塗料の白下地を検証
水性塗料の白下地を検証

所感

今回作ったサンプルです。

水性塗料の白下地を検証
水性塗料の白下地を検証

一度ターナーアクリルガッシュホワイトの隠蔽力と発色を知ってしまうともうこれを使うことしか考えられなくなったわけですが、入手性や扱いやすさを考えるとクレオスのクラッシーアンドドレッシーやタミヤのフラットホワイトの方が良いという人が多いでしょう。ガンプラのような場合はターナーアクリルガッシュホワイトのような明度の高いホワイトはあまり要求されないでしょうからタミヤのフラットホワイトくらいの方が良いかもしれません。タミヤのフラットホワイトは隠蔽力はクラッシーアンドドレッシーに若干劣りますが撹拌に使った塗料皿を洗うときにメラミンスポンジを使ってこすっても落ちないくらい塗膜が強力ですし、模型店にはほぼ必ず置いてあるのでちょっと試してみよっかな〜くらいの気分で導入してもいいと思います。

クレオスの白サフも白下地としては隠蔽力不足ですが黒下地から初めてグレーで陰影を付けたりするのには悪くないかもしれません(実際モトコンポのときはいい感じの陰影が付きました)が、今後は普通にサフとして使ってその上にアクリルガッシュを重ねるとかになりそうです。

気になるコスパはこんな感じ。ファレホのプライマーは使ってみたいと思っているんですが在庫が切れてるんですよね…。ホルベイン世界堂で取り扱いがあり、2 割引されていますが送料がかかってしまうのが難点。シタデルは使うのを躊躇するお値段ですね。

メーカー 製品 容量 価格
クレオ 水性ホワイトサーフェイサー1000 40 ml 410 円(10.2 円/ml
クレオ Classy 'n Dressy 水性ホビーカラ 18 ml 220 円(12.2 円/ml)
タミヤ アクリル塗料 ミニ フラットホワイト XF-2 10 ml 177 円(17.7 円/ml)
ターナー アクリルガッシュ ホワイト 11 ml 154 円(14.0 円/ml)
ターナー アクリルガッシュ ホワイト 20 ml 266 円(13.3 円/ml)
ターナー アクリルガッシュ ホワイト 40 ml 480 円(10.0 円/ml
リキテックス ガッシュ・アクリリック プラス チタニウムホワイト 20 ml 286 円(14.3 円/ml)
ホルベイン アクリリックガッシュ スーパーオペークホワイト 20 ml 495 円(24.75 円/ml)
ホルベイン アクリリックガッシュ スーパーオペークホワイト 100 ml 1,144 円(11.44 円/ml)
世界堂価格
ホルベイン アクリリックガッシュ スーパーオペークホワイト 300 ml 3,388 円(11.29 円/ml)
世界堂価格
ファレホ メカカラー ピュアホワイト 17 ml 330 円(19.4 円/ml)
ファレホ プライマー ホワイト 17 ml 418 円(24.5 円/ml)
ファレホ プライマー ホワイト 60 ml 660 円 (11.0 円/ml)
ファレホ プライマー ホワイト 200 ml 1,540 円 (7.7 円/ml)
シタデル LAYER ホワイト・スカー 10 ml 580 円(58.0 円/ml)
シタデル AIR ホワイト・スカー 24 ml 980 円(40.8 円/ml)

※希釈液は含まず。価格はヨドバシ価格(ファレホはボークス価格)。

とりあえず私はしばらくアクリルガッシュを使っていこうと思っているのですが毎回混ぜるのも面倒なのでスペアボトルに突っ込みました。塗料 10 ml、シンナー 10 ml、フローインプルーバー(リターダー) 1 ml くらい。これで充電式エアブラシに直接入れてすぐ使えます(ファレホのスペアボトルの方が楽だったかもしれない)。

水性塗料の白下地を検証
水性塗料の白下地を検証

これを使っていくつかのパーツを塗装してみたのですが 4 回で真っ白になりました。やはりクレオスの白サフに比べれば圧倒的な隠蔽力と発色です。

水性塗料の白下地を検証
水性塗料の白下地を検証

成形色のような青白っぽさもなく良い白です。

水性塗料の白下地を検証
水性塗料の白下地を検証

乾燥も早く表面もサラサラしていて触り心地がよく、例えるなら白いチョークのような感じ。上に色を乗せるのが楽しみです。

水性塗料の白下地を検証
水性塗料の白下地を検証

そういえば手軽に白を発色させる方法に下地にメタリックを使うという方法があるのを忘れていました。機会があれば試してみようと思います。

なお、これを書いているのは半年前に模活を始めた人間なので変なこと書いてるかもしれません。こういうのもあるよ〜というのがあれば教えていただけると助かります。

使っているうちに何か気になったことがあったら追記します。

追記1)ジェッソでの検証

ヨドバシのターナーコーナーを見ているとメディウム関連の場所に「ジェッソ」というものがありました。ジェッソとはキャンバスに塗る下地材のことですが、そういえばキャンバスに予めホワイトを塗っているのを見たことがあるな、と。下地材なら白サフとしても使えるのでは?と思い試してみることにしました。

ジェッソターナーの他、ホルベインリキテックスからも発売されていますが、入手性が高いのはターナーでしょうか(あくまでヨドバシカメラでの話ですが)。

ターナー U-35 ジェッソはサイズが 450 ml からしか用意されていません。エアブラシで使うには一生分くらいの量ではないでしょうか。他メーカーのように 50 ml くらいのサイズも出してもらいたいです。単価はとても安いのですけどね…。

リキテックスは 50 ml から用意されていますが販売店が限られているので店頭での入手がやや難しいのが欠点でしょうか(ヨドバシでは無料配達か店頭受取が可能)。メーカーサイトできちんと説明がされている点は好感が持てます。

ホルベインジェッソは S・M・L ・LL といった粒子の大きさが異なるジェッソが用意されているようです。世界堂さんとかなら普通に売ってるのかも。ホルベインの小さいサイズは M しかラインナップが無いようで、それ以外は S〜LL まで選択出来るのですが最低でも 300 ml は買わなければならないようです。

ジェッソ系の価格です。ターナー U-35 ジェッソクレオスの白サフ約 11 本分の容量で単価は約 1/5 なのでコスパはかなり良いですね。塗料の方では単価 10 円/ml を切るものはほとんどありませんでしたがジェッソはほとんどが 10 円/ml です。

メーカー 製品 容量 価格
ターナー U-35 アクリリックス ジェッソ 450 ml 1,170 円(2.60 円/ml)
ターナー U-35 アクリリックス ジェッソ 1,000 ml 2,170 円 (2.17 円/ml)
リキテックス ジェッソ 50 ml 508 円(10.16 円/ml)
リキテックス ジェッソ 120 ml 935 円(7.79 円/ml)
リキテックス ジェッソ 300 ml 1,340 円(4.46 円/ml)
リキテックス ジェッソ 500 ml 2,270 円(4.54 円/ml)
リキテックス ジェッソ 1200 ml 5,530 円(4.60 円/ml)
リキテックス ジェッソ 詰替え用パック 250 ml 1,130 円(4.52 円/ml)
リキテックス ジェッソ 詰替え用パック 450 ml 1,800 円(4.00 円/ml)
リキテックス ジェッソ 詰替え用パック 1,000 ml 3,420 円(3.42 円/ml)
ホルベイン ジェッソM 50 ml 352 円(7.04 円/ml)
ホルベイン ジェッソM 100 ml 616 円(6.16 円/ml)
ホルベイン ジェッソS 300 ml 1,056 円(3.52 円/ml)
ホルベイン ジェッソS 330 ml 1,540 円(4.66 円/ml)
ホルベイン ジェッソS 900 ml 2,640 円(2.93 円/ml)
ホルベイン ジェッソS 2,000 ml 5,280 円(2.64 円/ml)

※希釈液は含まず。価格はヨドバシ価格(ホルベイン世界堂価格)。

今回は最も入手がしやすくコスパも良いターナー U-35 ジェッソを試してみることにしました。容量は使い道に困るところですが…。

水性塗料の白下地を検証
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いやシャンプーの詰め替えパックかいというくらい大きいです。品質を保持したまま使い切れる気がしません。早いうちにスペアボトルに入れ替えた方がいいかも。

水性塗料の白下地を検証
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ターナーさんがターナー史上最高レベルの隠ぺい力」と謳うジェッソ。使用目的は「下地」となっておりツヤ感は「ツヤ消し」です。粘土は 5 段階中の 2 とのことです。

驚きの隠ぺい力で下塗りを

ターナー史上最高レベルの隠ぺい力があります。低臭で、平滑性にすぐれた下地剤です。ツヤ消しで、乾くと水に溶けない下地になり、絵具の発色と定着がよくなります。

製品情報ページでは詳しく説明されていませんがパッケージには「約20%までの水を少しずつ加えて粘土を調整します。」とあります。粘土は通常のアクリルガッシュに比べてやや緩いようです。最初にジェッソ:ファレホシンナーを 1:1 で割ったのですが少々薄かったので 1:0.4 程度でも試しました。感触としては 1:0.4〜1:0.5 くらいが良さそうです(充電式エアブラシ圧 0.048 MPa、0.3 mm ニードルの場合)。

上から

の結果です。クレオスの水性サフは 5 回、他は 4 回塗りです。

水性塗料の白下地を検証
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塗料皿の写真は左がターナーアクリルガッシュホワイト、右がターナー U-35 ジェッソです。

水性塗料の白下地を検証
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隠蔽力

ターナー U-35 ジェッソの隠蔽力に関しては申し分無く、1 回でクレオスの水性サフ 5 回分相当の隠蔽力がありました。

発色

ターナーアクリルガッシュホワイトとほとんど変わりませんがアクリルガッシュホワイトの方が僅かに白色度が高く自然な白です。あくまでアクリルガッシュホワイトと比較した場合ですが U-35 ジェッソの方はやや青みがあるような感じがある印象です(Photoshop で確認しても B の値がほんの僅かに高かったです)。

塗膜

触り心地についてはアクリルガッシュホワイトがスベスベ、U-35 ジェッソがサラサラ。感触としては素焼きした置き物のような感じ。ただしこれは希釈具合にもよるかもしれません。名前の通り下地材ですので上に塗る塗料の食いつきは悪くはないのではないでしょうか。

塗面は 10〜15 分もあれば触れる程度に乾燥してくれるのですぐに次の作業に入れます。

塗膜の強度は 12 時間経過後で爪やピンセットの先でなぞってみたり、やや強い筆圧で竹串を使ってガリガリしても落ちませんでした。同じ筆圧で確認してみたところアクリルガッシュホワイトの方はほんの少しスレが見られてた(「削れる」ほどではない)のでアクリルガッシュホワイトよりも僅かに塗膜は強いように感じました。

ランナーに吹いてみた状態です。手前はジェッソのみ、奥はジェッソの上にアクリルガッシュホワイトを吹いたものです。ジェッソのみの方は塗面が少し凸凹しているのがわかります。アクリルガッシュホワイトを上塗りした方は白色度が上がり表面も少し滑らかになっています。

水性塗料の白下地を検証
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ジェッソでの運用を行うためにスペアボトルにジェッソを 40 g、ファレホシンナーを 18 g、ファレホフローインプルーバーを 2 g で実際にパーツを塗装してみたところちょっと柚肌になってしまいました。やはり実際に塗ってみないとこの辺の希釈率はわかりませんね。この柚肌はこれはこれで革などの表現に使えそうではあるので希釈割合を変えたものも作っておくと役に立つときがくるかもしれません。

水性塗料の白下地を検証
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次のパーツはジェッソを 40 g、ファレホシンナーを 28 g、ファレホフローインプルーバーを 4 g にしたものです。大分表面が滑らかになりました。モールドが潰れたりもしていません。

水性塗料の白下地を検証
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こちらはターナーアクリルガッシュホワイトで塗装したものですが滑らかさはやはりこちらの方が上です。

水性塗料の白下地を検証
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テストピース作成ではジェッソと希釈液の割合が 1:0.4 でも問題はなかったのですが実際にパーツを塗るとなるとエアブラシの距離を離して塗るのでもう少し希釈が必要だったようです。

乾燥は早く、厳密に測定したわけではないですが 10 分もすれば触れる程度には乾燥していたと思います。

実際にパーツを塗ってみた感じでは狭くて塗料が入っていかないところもあり、僅かにパーツの色が見えてしまうのでやはり綺麗に真っ白な塗装にするのであればシルバーで一回リセットした方が良さそうです。


ターナーさんは製品情報ページで支持体についての言及をしていないので U-35 ジェッソをプラスチックに塗布することを想定しているかどうかは不明ですが試してみた限りでは問題ないように思えます。

ところでジェッソってエアブラシで吹いていいんかな?と思って調べてみるとユネプラさんという方が既にジェッソを下地にお使いになられているようでした。

下地材としても問題はなさそうなのでしばらくは U-35 ジェッソを隠蔽用に使用して、最終的な白塗装にはアクリルガッシュホワイトを使っていこうと考えています。

追記2)タミヤ アクリル塗料 XF-2 フラットホワイトの隠蔽力を再検証

途中でサンプルの作り方を変えてしまったので再度サンプルを作り直すことにしました。

1 番上が最初に作成したもの、2 つ目が新しく作成したものです。見ての通り結果で隠蔽力は十分にあるようです。最も隠蔽力があるのはやはりターナーアクリルガッシュホワイト。次いで誤差の範囲かもしれませんがターナー U-35 アクリリックス ジェッソタミヤ フラットホワイトは僅差で U-35 ジェッソの方が上でした。

水性塗料の白下地を検証
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シルバー下地ですがシルバー下地でホワイト 1 回とブラック下地でホワイト 2 回を見比べてみると隠蔽具合にあまり差は無いようでした。しかし、シルバーにすることで下地の色がしっかり隠れるので色をリセットさせるためにもシルバー下地は有効なのかもしれません。

これと同じ方法でサンプルを作ったらクレオスの Classy 'n Dressy ももう少しまともな結果になるかもしれません。

ホワイトサーフェイサー1000 の方も作り直せばもう少しまともなサンプルは出来そうですが実際使ってみてアクリルガッシュほどの白さを得られないのは確認しているので作り直さなくてもいいでしょう。

参考ウェブサイト