Panasonic LUMIX G 42.5mm / F1.7 ASPH. / POWER O.I.S.(H-HS043)のレビューです。
ちょっと前に買ったマイクロフォーサーズ用レンズですがあまり試さずにしまっていたのでちゃんと使ってあげることにしました。
約 3 万円で買える 35mm 換算 85mm の単焦点レンズ。質量約 130g、最短撮影距離 0.31m とコンパクトでまぁまぁ寄ることも出来るレンズです。G9 PRO との組み合わせだと普段使っている LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm から交換するとフォーカスリングの細さにも驚きます。
素人レビューですのであまり過信なさらぬよう😌
仕様
被写体を印象的に捉える、美しいボケ味の中望遠ポートレートレンズ
美しいボケ味で被写体を印象的に捉えることができる大口径・中望遠レンズです。開放F1.7の明るさは、夕暮れや薄暗い屋内でもISO感度を上げることなく速いシャッタースピードでの撮影を可能にし、ノイズや手ブレを抑えた美しい描写を実現します。中望遠85mm(35mm判換算)は、ポートレート撮影に適した焦点距離。自然な遠近感により被写体を見たままのディテールで捉えます。
レンズ構成は非球面レンズを含む8群10枚を採用。球面収差や歪曲収差、さらには色収差の発生を効果的に防ぎ、被写体の輪郭にじみのない立体感のある描写を実現しました。
最小絞りはF22を実現。明るい日中でも絞り込むことができ、幅広い表現が可能です。
高精度・高速コントラストAFを実現
コントラストAFは、位相差AFと比較して、小さいF値でもより高精度なAF精度を実現。撮影者の意図に応える精度の高いピント合わせを行うことができます。さらに本レンズは240fps駆動の高速・高精度コントラストAFに対応し、動く被写体への素早いピント合わせも可能です。
手持ち撮影時も安定したフレーミングが可能な、光学式手ブレ補正「POWER O.I.S.」
レンズ筐体内に搭載したジャイロセンサーが手ブレを検知し補正する「POWER O.I.S.」を搭載。毎秒4000回のブレ検知を行い、高周波域に加え低周波域の手ブレも検知し補正します。 手持ち時にも手ブレを抑え、安定したフレーミングで撮影できます。
特徴としてはやはり F1.7 の明るさですがメリット・デメリットがあります。
35mm 判換算 85mm は普段使われていない方からすると「狭い」と感じると思います。個人的にはフィギュア撮影ではパースをあまり付けたくないため 100mm 前後が良いと思っており、(若干長めではありますが)店頭展示フィギュア撮影でのワーキングディスタンスも考慮するとちょうどいい焦点距離ではないかと思います。
さらには色収差の発生を効果的に防ぎ、被写体の輪郭にじみのない立体感のある描写を実現しました
とありますが色収差は出ます。歪曲収差は後述していますが少な目だと思います。
AF は個人的には「速い方」だと思います。フィギュア撮影でもピントを外すことは少なく使っていてストレスを感じることはあまりありません。ただし個人差があると思いますのでご注意ください。
手ブレ補正については元々 G9 PRO のボディ内手ブレ補正がある程度効くためこのレンズと組み合わせたときの明確な違いについては感じませんでした。動作音が結構するような…?
品番 | H-HS043 |
---|---|
レンズ構成 | 8群10枚(非球面レンズ1枚) |
マウント | マイクロフォーサーズマウント/金属マウント |
画角 | 29° |
光学式手ブレ補正 | ○(POWER O.I.S.、Gシリーズ本体に準じたMODE切換えが可能) |
焦点距離 | f=42.5mm(35mm判換算:85mm) |
最小絞り値 | F22 |
開放絞り | F1.7 |
絞り形式 | 7枚羽根 円形虹彩絞り |
撮影可能範囲 | 0.31m~∞(撮像面から) |
最大撮影倍率 | 0.2倍(35mm判換算:0.4倍) |
フィルター径 | φ37mm |
最大径×長さ | φ55mm×約50mm※ |
質量 | 約130g |
付属品 | レンズキャップ、レンズリアキャップ、レンズフード、デコレーションリング、レンズ収納袋 |
風景撮影
「フィギュアのための」とか言っておきながらまずは基本の風景から見ていきます。
開放でもそれなりに写りますが条件によっては色収差が目立つため最近では F4.0〜F5.6 まで絞って使うことが多いです。
個人的にレンズの評価は下記の点に重点を置いています。
- ピントの山が掴みやすい
- 歪曲収差が少ない
- ボケがうるさくない
AF はあまり使わないので AF 速度等の性能については重点を置いていません。明るさも特に求めていないのでむしろしっかり写って欲しいです(明るくてもまともに写らないならどうせその F 値は無いものとして扱うので)。
ずっとオールドレンズを使っていたので開放の写りというのはあまり期待していないのですがこのレンズは F1.7 でも好みの写りでした(ちょっと色収差出るけど)。
歪曲収差はわずかに樽型ですが建築物なんかを撮らなければほぼわからないレベルだと思います。補正でなんとかなるので個人的には許容範囲でしょうか。コンパクトなレンズでありながら画面端までしっかり写してくれます。やはり単焦点は良い。
円形虹彩絞りなので玉ボケも綺麗です。
パープルフリンジは出ますが条件が条件ですしこれも味ということで。
秋葉原中央通りを挟んで反対側(30m くらい?)を F1.7 と F5.6 で撮影してみました。等倍で中央をトリミングしています。F1.7 でもそれなりに写っている方だとは思いますがしっかり撮るならある程度は絞りたいですね。それにしてもほんと 3 万円でも良く写るなぁと感心します。
そういえば絞りブラケットなんて機能あったなぁ…とこれを書きつつ思い出す。
絞り比較
(F22 で下部が暗いのはストロボの光量不足だったかも)
周辺光量落ちは F2.8 まで絞ればほぼ解消しますが四隅に少し光量落ちが残るのでしっかり明るさを確保するなら F4 まで絞った方が良さそうです。(※同じ部分を比較しやすくするため F4.0 の方を反転しています)
中心を等倍で確認してみます。ピントはカッターマット側に合わせています。
F1.7
F2.0
F2.8
F4.0
F5.6
F8.0
F11
F16
F22
F1.7〜F2.8 では色収差が出ていて F4.0 でほぼ無くなります。F4.0 と F5.6 はほとんど差が無さそうですが F4.0 の方が僅かにカッターマットの傷がくっきりしているように見えます(本当に僅かなのでシャープネスや NR のレベルでまったくわからなくなると思う)。インプレスのレビューによるとこのレンズは F2.8〜F4.0 でピントピークを迎えるようです。F8.0 からはどんどん甘くなっていきますが F11 までであれば許容範囲でしょうか。
フィギュア撮影
手前の被写体から背景までの距離は約 30 cm です。フィギュアは 1/6 スケール。
中距離ボケ比較
F1.7
F2.8
F4.0
F5.6
F8.0
近距離ボケ比較
F1.7
F2.8
F4.0
F5.6
F8.0
最短撮影距離は短い方ですがマクロレンズではないのでさすがにアイプリをぐっと拡大したりまでは寄れません。トリミングしたりエクステンションチューブを使うことになります。
画角が違うのでまったく同じにはなりませんが LUMIX G MACRO 30mm と同じ範囲が写るように調整してみました。LUMIX G MACRO 30mm と比較しても遜色ないですね。
店頭展示フィギュア撮影作例
最近自宅では D800E を使っているのでマイクロフォーサーズはホビーショップなどの展示フィギュアを撮ることが多いです。私の場合はこれで使いやすかどうかが重要。
F1.7〜F5.6 で下に行くほど絞ってます。
F1.7 の明るさとボケは魅力的ですがやはり甘いのでフィギュア撮影で常用することは無さそうです(あんまりボカしても一部分しか写らないしね…)。最低でも F2.8 からでしょうか。
お店に展示されている 1/7〜1/6 スケールフィギュアの全身を撮るときはスペースや混み具合の関係で距離を取ることが出来ないので普段は 35mm 換算で 50〜60mm を使うことが多いです。LUMIX G 42.5mm の 85mm だと一歩下がる必要が出てくるので少し撮りづらさを感じることもありました。
自宅撮影作例
最近自宅でのフィギュア撮影は Nikon D800E を使っていてマイクロフォーサーズでの作例自体が無いので一旦今回のレビュー用に撮影したものだけになります。(後日追加するかもしれません)
(途中でも書きましたが)アイプリを画面いっぱいに撮れるほどは寄れませんが等倍で見てもしっかりした写りなのでトリミングで対応してもいいと思います。下記は 2 枚目の写真をリサイズ無しで切り出したものです。
最短撮影距離でねんどろいどを撮影した場合はこんな感じ。
中心でトリミングしてリサイズ無し。
50cm ほど離れて F1.7 と F4.0 で比べた感じ。
今回、G9 PRO とこのレンズを使ってみてたまには自宅撮影でもマイクロフォーサーズを使おうかなと思いました。GH4 でフィギュア撮影をしていた頃に買っていれば間違いなく使っていたレンズだと思います(もっと早くに買えば良かったなとちょっと後悔)。
あとがき
買ってすぐに試し撮りをしたときは解像感がイマイチかな?と思ったのですが色々撮ってみると最初の印象ほど悪くありませんでした(恐らく絞り込みが足りなかったのでしょう)。
ボケの滑らかさは LUMIX G MACRO 30mm F2.8 や LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm の方が少し上かなと感じますがうるさい感じがしないボケなので不満はありません。
フィギュアを撮るときフォーカスは AF してから MF で微調整する派なんですが速くてしっかり合うので助かっています(AF の速さについては普段 MF 使ってる人間なのであまり期待しないでください)。
不満と言えば G9 PRO でフォーカスリングをノンリニアではなくリニアに変更できないことでしょうか。MF レンズ使っていた身としてはノンリニアって慣れないんですよね…。
あと、このレンズは 42.5mm と言いつつ Exif には 43.0mm で記録されるので写真に埋め込んでいるキャプションは 42.5mm(85.0mm)になるように書き換えています。小数点第一位まであるのになんで 43.0mm にしてるんだろう?Exif のバージョンとかで違うんだろうか。
今更価格.comで評価を見てみたのですが 4.70 と案外高かったです。
フィギュア撮影で LUMIX G 42.5mm F1.7 と LUMIX G MACRO 30mm F2.8 のどちらを選ぶか聞かれたら取り回しの良さで MACRO 30mm でしょうか。ただ、MACRO 30mm は 35mm 換算 60mm で少しパースが付いてしまうので出来るだけフィギュアの形を崩したくなければ 42.5mm が良いと思います。
普通のスナップでは単焦点の入門として使いやすい一本だと思います。
このレンズを使用した投稿についてはタグを付けていますので他の作例をご覧になりたい方は下記のカテゴリを参照してください。
使用機材
- Panasonic LUMIX DC-G9
- Panasonic LUMIX G 42.5mm / F1.7 ASPH. / POWER O.I.S.
- Panasonic LUMIX G MACRO 30mm / F2.8 ASPH. / MEGA O.I.S.(比較用に使用)
作例フィギュア
- ウイング おおかみずきんちゃん
- スピリテイル ライザ ー日焼けver.ー
- グッドスマイルカンパニー ねんどろいど キャル
撮影地域
- 秋葉原およびその近郊